昔話9

昔話8の後日談。私が3年後に日本に帰ってから,バーンスタイン氏から、彼の兄が日本に行くから案内してほしいという連絡があった。この人は大物の投資家で、毎年世界中を歩いてホテルや劇場,会社などを買収しているのだという。ある日,タクシーで帝劇の前を通りかかったとき、この物件を買いたいと言い出した。当時,帝劇は二階建ての劇場だけで、シネラマなんかを上映していた。彼はここを高層のオフイスビルにし,帝劇には1,2階に十分なスペースでの営業権を保証する。もし買収が成功したらご褒美に私にあたらしいビルの1室をあげるから交渉してくれという。20代の小娘が。東宝本社に交渉に行くことになった。アメリカ暮らしで怖いもの知らずになったばかりのこと、今にして思えばよくあんなことができたと思う。東宝はびっくりして役員会を招集、この降ってわいたとんでもない買収話を検討したが、結局お堀端のあの場所は外国人に売ることはできないと断ってきた。しかし後に彼の言った通り、そこには丸の内国際ビルがたち,帝劇はその1,2階におさまった。そしてなんというめぐりあわせか,私はそのビルの最上階のオフイスに、オーナーとしてではなく、ただの働き蜂として、20年以上もあくせくと働くことになったのである。残念賞として彼が帝国ホテルのアーケードで買ってくれた真珠のブローチをつけるたびに,私はため息がでたものである。 

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この記事へのコメント

kaoruko
2010年05月06日 07:33
ジェシカさんのファンです。帝劇を買い取ろうとしたバースタイン氏はさすが目の付け所が違いますね。アメリカ生活で日本との習慣の違いで驚いたお話などなどもぜひお願いします。

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